« 福井愛ラン会品評会2 | トップページ | 平成27年 新年の挨拶状 »

2014年11月24日 (月)

天台大師と摩訶止観(円頓章):寺の行事 天台会


天台会

 

 天台大師は紀元六世紀(西暦538年-597年)に中国で活躍された
仏教のお坊さんです。11月24日に遷化(他界)されたことから、
この日に当山では天台会の行事を営み、
経典や天台大師の遺徳をしのぶ和讃を読誦します。

 天台大師は得度名を智覬と申され、仏教の教えを実践し、
瞑想的な反省の座禅によって悟りの境涯を得られた方です。
悟りの最高の段階は宇宙即我の境地ですが、
大師本人は "一実諦の法" を悟ったと述べておられます。
なお、大師はこの反省の座禅を止観と呼ばれました。

 釈迦以後、悟りの心境に到達せれた方はホンのわずかの人達しかおられません。
このこともあって天台大師を支那(中国)の小釈迦と呼ぶ人もいます。

 現在に伝わっている天台大師の著書の中に〝摩訶止観〟があります。
これは大師が座禅(止観)の解説をした法話をまとめたものですが、
この中に大師が悟りの心境を解説された部分があります。
〝円頓章〟と呼ばれていますが、これをご紹介します。

                       西山光照律寺 住職

 

円頓章

(本文)
円頓者。初縁実相。造境即中。無不真実。
繋縁法界。一念法界。一色一香。無非中道。
己界及仏界。衆生界亦然。陰入皆如。
無苦可捨。無明塵労。即是菩提。無集可断。
辺邪皆中正。無道可修。生死即涅槃。
無滅可証。無苦無集。故無世間。無道無滅。
故無出世間。純一実相。実相外。更無別法。
法性寂然名止。寂而常照名観。雖言初後。
無二無別。是名円頓止観。
  当知身土  一念三千  故成道時
  称此本理  一身一念  遍於法界







(解釈文)
 



円頓者。初縁実相 。
 円頓(えんどん)の境地とは心を調和させることにより、
初めに意識世界(実在界)の中心をなす宇宙界に心を通じさせることである。



造境即中。
 この世は仏の慈悲の心を映しだし、諸々の存在が縁によってつながり、
中道の法によって安定して存在している。



無不真実。
 宇宙界はこの仏の慈悲の心の世界であり、大宇宙を支配する意識の世界であり、
真実ならざることは無い。



繋縁法界。
 己が心を宇宙を作動させている慈愛に満ちた(神仏の)意識の世界に繋げ、
我が心の意思と法界(神仏の意識の働きを受けている世界(注))の意思とを導通させることである。



一念法界。
 神仏の意識と導通した境地からこの地上世界を眺めてみた時、
地上(宇宙)のあらゆる事象には神の意識が働いているので、



一色一香。無非中道。
目に見えるもの、
身体に触れるもので中道ならざるものは無いことが分かる。



己界及仏界。衆生界亦然。陰入皆如。
 自我意識・執着の心の世界、
執着の無い心の調和された天上界、
生きとし生けるものの世界であるこの地上界もまた、
どの世界も神仏の意思である中道で無いものはない。



無苦可捨。
 宇宙全体に通じている神の心の世界では、
苦を捨てるということもなく、



無明塵労。即是菩提。無集可断。
すべてが調和されているので、
執着に迷うことや執着する物を苦の原因として絶つということも無い。



辺邪皆中正。無道可修。
 片寄った邪な見方・考え方が無く、中道の見解が備わっているので、
正しい道を修めるということも無い。



生死即涅槃。無滅可証。
 生まれ死ぬということも無く、神仏の心と一体なので永遠不滅である。



無苦無集。故無世間。
 捨てるべき苦も無く、捨てるべき苦の原因も無く、物質世界の現象・感覚も無い。



無道無滅。故無出世間。
 道を修めるということも無く、生死を超えているので、
物質世界の感覚・事象から離れ悟りを得るということも無い。



純一実相。実相外。更無別法。
 心は実相の世界と純に一体となっており、実相の世界の他に、
この宇宙を支配している法の世界は無いことが分かる。



法性寂然名止。
 この実在世界の姿は永遠不滅の安定したものであるので、
これを〝止〟となづけ、



寂而常照名観。
この安定した心で静かに地上界の現象を見つめることを〝観〟となづける。



雖言初後。無二無別。
 ここで説くことは、釈迦の時代から現在に至るまで変わることのない、
真実無二の仏法の神髄である。



是名円頓止観。
是れを〝円頓止観〟となづく。



  当知身土  一念三千 
 良く理解するべきである。
心は「一念三千」であり、
己の心が思うことは無限の広がりを持つものである。



  故成道時  称此本理  一身一念  遍於法界  
 故に悟りの境地に到達した時、この本理に従い、
我が身も我が心も宇宙大に拡大し、宇宙と一体になるのである。




(解釈文終わり 文責 白崎良演)





 当山に無断での上記解説文の転載はご遠慮下さい。
今後機会を見てこの円頓章の解説を試みたいと考えております。


(注)法界
大宇宙を支配する意識の働き、つまり「法」によって営まれている世界。『宇宙』。


初掲 平成26年11月24日
修正 令和2年 4月25日 解釈文の一部(『雖言初後』の解釈
)を訂正 
修正 令和4年11月19日 解釈文の一部(『法界』『一念法界』の訳文)を訂正 




« 福井愛ラン会品評会2 | トップページ | 平成27年 新年の挨拶状 »

行事紹介」カテゴリの記事

論説」カテゴリの記事

解説」カテゴリの記事